この世で最も多い感染症!?糖尿病や心臓病、脳梗塞の原因にも!? 歯周病ってどんな病気かご存知ですか?
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  • 歯周病とは
  • 細菌が原因の歯周病
  • 歯周病の及ぼす恐怖
  • 細菌以外の歯周病の原因
  • 当医院の歯周病検査
  • ハイリスク 細菌検査
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皆様は、この世で最も感染者数が多いとされている病気って何かご存知ですか?
風邪?インフルエンザ?・・・違います。実はなんと「歯周病」!!ちゃんとギネスブックにも載っています。
歯周病、歯肉炎、歯槽膿漏、・・・最近では巷でも「成人男性の5人に4人はかかってます!!」なんて、よくテレビCMなどで耳にするようになったこんな言葉たち、市民権は得たけれど、ホントはどんな病気なのでしょう?「熟れ過ぎたトマトのようになった歯茎」になってしまうというこの病気、なぜその様になってしまうんでしょう?最も多い感染症なのに、ちゃんと説明してって言われたら、ちょっと困りませんか?

 

お口の中から歯を失ってしまう理由、交通事故やケンカなどを除くと、大きく分けて2つ原因があります。
1つは歯そのものを溶かしてしまう「虫歯」、そしてもう1つは歯ではなく、歯の周囲の骨や組織を壊してしまうことで歯を失わせる「歯周病」です。この二つ、実は意外と知られてないことが多いですが、ばい菌が原因でなる場合、この原因となる「細菌」、虫歯菌と歯周病菌は全く別物なのです。

 

生まれたばかりの赤ちゃんは、実はお口の中にばい菌はいません。成長の過程で、お母さんの口移しや、他の人の食べたスプーンなどの使い回しをしてしまったりすることで感染してしまい、住みつかれてしまいます。最近の若い方の親御さん世代には、もうこういった知識がある程度普及していたこともあり、感染しやすい年ごろにそういった危険を遠ざけてもらっていて、虫歯にならない方もいらっしゃいます。しかし、こういった方は、歯磨きしなくても虫歯にはならないかもしれませんが、歯周病菌がいたら、歯周病にはかかってしまう可能性はあるのです

 

またこの「歯周病」、大きなくくりでは「歯の周りの組織を壊していく病気」であり、その原因はいくつか挙げられますが、最たるものは先ほどからお話ししている「細菌」ともう一つ、「破壊的な力」の2つからなります。
どちらからなるにしても、結果的には歯の周囲の骨がなくなり、歯や噛む力を支えられなくなって、歯がぐらぐらしたり、抜け落ちてしまったりします。

 

健康な状態 一見健康そうに見えても・・・

レントゲン写真

しかし、レントゲンを撮ってみると、このように映ります。

レントゲンの診かたはこちらで詳しくお話させていただいておりますが、簡単におさらいすると、硬いところ(骨があるところや歯の部分)は白く映り、柔らかいところ(歯茎やお肉、神経、血管、脂肪など)や、何もないところは黒く映ります。
パッと見たらしっかり歯茎のお肉もあるじゃないか!!と思われても、実際レントゲンで透かして見たら、歯の周囲にはもうほとんど骨が残っていません

レントゲン写真

左に載せた健常な方の歯の周囲の骨の状態と比べると、一目瞭然かと思います。いくら歯の周りの骨が硬くとも、歯の根のさっきぽだけしか支えてくれていないのでは、やはりぐらぐらになってしまいます。
少し強い力がかかってしまうと骨から脱臼して抜け落ちてしまうかもしれません。

 

ではこうなってしまう原因の一つ、まず「細菌」からなる歯周病についてお話ししましょう。

プラーク少し話はそれるかもしれませんが、皆さんはご自身のお口の中にどれくらいの種類、量の細菌がいるかご存知ですか?

歯がある人の場合、口腔内には約300~400種類の細菌が存在し、その数は、よく磨く人で1000~2000億個、あまり磨かない人では4000~6000億個、 全く磨かない人ではなんと1兆個!!!とも言われています。

歯周炎の方のお口人体を構成する細胞の総数が10兆個程度と言われているのに対し、歯磨きしない人はつ歯周炎の方のお口まり、お口の中だけで、その10分の1近い数の細菌を飼っていることになります。もう少しわかりやすく話すと、プラークとも言われる、歯についている歯垢1gには約1千億の細菌がいることになり、これは1gのうんちとほぼ同量と言われています。これを聞くだけでとりあえず歯磨きしたくなりませんか?

 

では、「細菌による」歯周病とはどのように進行していき、我々のお口の中を壊していくのでしょう?

まず歯と歯茎の間に食べかすなどが溜まり、細菌も集まってプラーク(歯垢)となります。このプラークが原因で歯茎が炎症を起こし、腫れてしまいます。これが歯周病の第一段階、歯肉の炎症、「歯肉炎」です。

歯肉炎 軽度の歯周炎

次に、そのプラーク(歯垢)に唾液の中からカルシウムなどが吸収され、カチカチの歯石となります。こうなってしまうと、もう患者様自身の歯磨きでは取れません。プロによる歯石除去が必要となります。

中等度歯周炎

歯石やプラークにより起こされた慢性的な歯周組織の炎症「歯周炎」は徐々に内部の骨を溶かし始めます。歯石がなくならない為、炎症は常に起こり続けている状態となります。細菌や、細菌の分泌物などにより口臭なども起こってきます。

重度歯周炎

そして、骨がどんどん失われていき、歯がぐらぐらし始め、最終的には抜け落ちてしまいます。膿んできてが出たりもします。さらに細菌は血流に乗り、身体の別の部位に到達することもあり、後述する様々な病気の原因、温床となったりもします。

 

初めにもお話ししましたが、「成人の5人に4人は歯周病」と言われ、多くの人がみんな持っているのに、いや、みんな持っているからこそ軽く考えられてしまいがちな「歯周病」。しかし怖いのは、お口のトラブルだけではありません

 

例えば歯周病の方は健常者に比べ、2.8倍脳梗塞になりやすいと言われています。また、動脈硬化や心臓病にも歯周病の原因菌が強くかかわっていることが近年わかってきました。
そういった病気で亡くなられた人の心臓から、本来お口の中にいるはずの歯周病原因菌が発見されたのです。歯周病原因菌がお口の中の歯肉や骨を壊し、そのまま血管に入って血流にのってしまったのだと考えられています。
そしてその菌の刺激により、動脈硬化を誘導する物質が出て、血管内にプラーク(お粥状の脂肪性沈着物)が出来てしまい、血液の通り道を細くしてしまうのです。そのプラークが剥がれて血の塊が出来ると、その場で血管が詰まったり血管の細いところで詰まります
これが心臓の細い血管で起こると心臓の筋肉に血液が送れなくなってしまい、狭心症や心筋梗塞などといった、「心臓病」を引き起こし、最悪の場合死に至るのです。

 

更に、予備軍を含めると日本人に2200万人はいるかと言われている生活習慣病、「糖尿病」とも歯周病は密接な関係があります。
糖尿病にかかっている人はそうでない人に比べ、歯周病にかかっていることが多く、また近年、逆に歯周病にかかっている人は適切にケアしてコントロールしてあげないと、糖尿病を悪化させてしまうこともわかってきました。

 

「糖尿病」は血管をぼろぼろにしてしまう恐ろしい病気で、進行すると手足が腐ったり視力を失ったり腎臓を壊したりといった合併症を引き起こします。
歯周病をしっかりケアすることで、糖尿病の方もこういったリスクを下げることが出来ます

このほかにも、妊婦さんが歯周病に罹患していると、低体重児および早産リスクが高まることも指摘されています。その危険率はなんと7倍!!実はタバコやアルコールなんかよりずっとずっと高い確率なのです。

 

このほかにもう一つ、先述した「破壊的な力」も歯周組織を壊す大きな原因となります。

歯ぎしり、くいしばりこの破壊的な力には、噛み合わせが悪い事による物、日中や夜寝ている間の歯ぎしりや食いしばりなどが挙げられます。

歯並びが悪いと、普通にかみ合わせたり、物を食べたりする時にも不適切な力が歯や歯周組織に及びます。噛む力は体重から時に100㎏にも及ぶと言われ、いくら歯や骨が強いとはいえ、このような力が恒常的にかかり続けると歯や歯周組織を壊す原因になります。

また、ストレスなどにより日中食いしばったりされている方は常に歯や歯周組織に過大な力が加わっていることになり、ダメージが蓄積されます。

夜寝ているときには意識がないため、歯ぎしりや食いしばりをしても、日中では痛みがあったり、セーブしてしまうような過大な力がかかります。特に歯ぎしりは、歯に横揺れの力を加えてしまい、毎日毎晩揺らされ続けていると、歯の周囲の組織は破壊されていきます。詳しくはかみ合わせ

これらの予防、治療には、歯の周囲のお掃除などでは不十分であり、これらの力がかかりにくい状況を作ってあげる必要があります。

歯並びの悪い方は矯正治療や、少しでも無理な力がかからないよう、不適切な力がかかっているところを少し削ってあげる咬合調整の必要があります。

また、夜寝ている間は意識できないので、マウスピース(ナイトガード)を使用して、このような力から守ってあげる必要があります。詳しくはマウスピース

喫煙これ以外にも喫煙による血行障害(たばこの中に含まれるニコチンには血管収縮してしまう作用があり、これにより細菌と闘ってくれる白血球や、組織修復、再生に必要な栄養や酸素の供給が滞ってしまうため、歯周病の進行を助長してしまう原因になります。

糖尿病や、他の病気で飲まれる様々な薬剤も、歯肉炎や歯周炎の原因となる事もあります。

新枝デンタルオフィスで行う 歯周病検査・治療とは
歯周ポケットの深さの違いによる状態の目安

歯肉は骨とはくっついていますが、歯とは完全にはくっついていない為、だれでも歯と歯茎の間に「ポケット」と呼ばれる溝がありますが、健康な歯茎の方で大体2㎜程度と言われています。

歯茎に炎症が起こり始めると(歯肉炎)歯茎は腫れ、膨らみます。このため、ポケットは見かけ上増え、4㎜ほどになります。
更に炎症が進むと(歯周炎)、先述のように骨が溶かされ、どんどんと歯と歯茎の間の溝は深くなっていき、ポケットが5㎜、6㎜~10㎜以上にもなってきます。

このポケットの深さを測る事で、歯周病の進行度合いを測る事が出来ます。

歯周ポケット検査

また、この歯周ポケット検査時に、我々がプローブという先の丸まった道具をポケット内に挿入しますが、この時の力は約25g程度で挿入することになっています。

歯ぐきの出血検査

この25g程度の力であれば、健常な歯肉の方は痛みも感じず、傷にもなりません
しかし、歯茎に炎症が起こっていると、この弱い力で、先のまるい器具を入れただけで出血します。特に炎症の強いときは顕著です。

この出血検査により、炎症の有無や度合いを計れます。

※この時に起こる出血は炎症によるものです。しっかり歯磨きをした場合でもこのような状態な方は出血しますが、この血は出ても心配はいりません
その分しっかり磨き、歯茎を引き締めてあげることが大切です。出血を恐れて磨かなければ、いつまでも細菌はその場に残り続け、炎症が起こり続ける事となり、結果として歯周組織をどんどん破壊していくからです。

その後歯の動揺度も計測します。健常な歯は生理的にほんのわずかだけ揺れはしますが、ほとんど目で見ても解らない程度です。

歯の動揺度検査

動揺度にも厳密な基準はありますが、わかりやすく言うと、

前後、または左右に1方向だけ揺れる・・・動揺度1

前後、左右に2方向に揺れる     ・・・動揺度2

前後、左右に加え、上下にも動く   ・・・動揺度3

という結果になり、動揺度3になると多くの場合抜歯が必要と診断されます。

 

ここまでは当医院に来院されたほとんどの患者様に行う基本的な検査であり、これにより歯肉炎、ないしは歯周炎と診断された患者様には、ご説明の上、国家資格を持った当医院衛生士による歯周治療を行わせていただくことになります。

ですが、まれに、特殊な歯周病にかかっていらっしゃる患者様もいらっしゃいます。

歯周病は、先ほどお話ししたお口の中の300~400種類の細菌全部が悪さして起こっているわけではありません。ごく一部の細菌たちが悪さをすることで発症します。

歯周病原菌歯周病菌の中でも悪さの仕方や度合いにそれぞれ特徴や大きな差があり、何より大切なことは、歯周病罹患者でもみんな持っている菌は違うという事です。

もう少し詳しく言うと、歯をしっかり磨くだけでその進行を遅らせたりある程度止められるくらいの菌もいれば、そんなことぐらいでは全く止められず、放置しておくとどんなに頑張って磨いていても、若くして多くの歯を失うこととなりかねない危険な菌が存在する方もいらっしゃるという事です。

 

例えば、多くの成人の歯周病患者さんのお口から検出される「歯周病菌」Porphyromonas gingivalis(「ぽーふぃろもなすじんじばーりす」と読みます。言いにくので、通称P.g菌と省略されます)は、その表面にある線毛という器官の造りの違いから6つのタイプ(typeⅠ、Ⅰb、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ)に分かれています。

この中で、多くの重篤ではない歯周病患者の方が持つ菌のタイプはTypeⅠであることが多いのに対し、重篤な症状になりやすい方の多くはTypeⅡないしはⅣをもっていることがわかっています。

また、まだ10代や20代の若い方で、お口の中は一見たいした汚れもついていなさそうに見えるのに、普通の歯周炎よりはるかに急速に骨を溶かしていく恐ろしい歯周病もあります。

これを「若年性歯周炎」または、「急速進行性歯周炎」と呼びますが、これらと関連が深い歯周病菌に、Aggregatibacter actinomycetemcomitans(「あぐれがちばくたー・あくちのまいせてむこみたんす」と読みます。こちらもA.a菌と省略されてよばれます)というものがいます。
この菌は白血球を壊すという恐ろしい能力を持ち、早いうちに対処していかないと、まだ若い人たちから、食べる喜びと、噛む力、見た目の美しさを奪っていってしまいます。

 

こういった危険な菌をお持ちの方は、そうでない方向けの、単純な歯のお掃除のような治療では不十分です。しっかりとした清掃はもちろんの事、信頼性の高い検査を行って、どの菌が悪さをしているのかを暴き出し、その菌に本当に有効なお薬を選定して投与したり、外科的に歯周ポケットの中を徹底的にきれいにするなどといった、積極的で特殊な治療が必要になります。

当医院では、こういった危険な歯周病かどうかを判別し、もしそうであった場合どのような抗菌薬や治療方法が有効なのかを調べるため、口腔内細菌検査を行っています。これは、お口の中の菌を採取し、その中から歯周病と関連の強い6菌種に対し、「PCR-インベーダー法」という精度の高い検査方法で、その量や、それによるリスクを判定し、さらには先に述べたP.g菌のタイプまで調べ上げることができる極めて有用な検査です。この検査の結果に基づいて、その患者様に最適な治療法を診断し、ご提案させていただきます。