歯も骨もかみ合わせも壊していく 親知らずは抜くべきか
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親知らずは抜きか否か 当医院の考え方

親知らず…前歯などと違って、親がもうお口の中を見ないようなお年頃に生えてくるからこんな名前が付いたそうです。(諸説あります)

皆様はよく、お友達や周りの方が、

「親知らずが腫れたよ(涙)」とか、

「親知らずが痛くて・・・」

と言われているのを聞かれたことはありませんか?

またはご自身がそうなられたことはありませんか?

 

または、親知らずを抜かれた方から、

横向きに生えてきてたから、抜くの大変だったよ」

などとと聞かされたことは?

親知らずに関しては生えてきていなかったら、または痛くなければ抜かなくてもいいよとおっしゃられる先生と、生えてきている方向によっては、痛みがなくても、まだお口の中に見えてきてはいなくても、抜いた方がいいという先生がいらっしゃいます。


抜くにせよ、置いておくにせよどちらにもメリットとデメリットはある為、このように歯科医師の間でも意見は分かれますが、当医院院長は勤務医時代の医院が親知らずに関しても専門の医院で、数千人の患者様を見せていただいている中、親知らずによって引き起こされた様々な弊害や、置いておいた為に起こったことなどを沢山診せていただいてきた為、多くのケースで抜歯をお勧めする立場を取らせていただいております。

では当医院でなぜそうお勧めするのか、詳しくお話しさせて頂こうかと思います。

なぜ親知らずは、腫れたり傾いて生えるのか

1つ目の理由をお話しする前に、まずなぜ親知らずは腫れやすかったり、横向きに生えたりするのでしょう?

親知らずは一番奥に生えてきます。欧米人や昔の日本人は顎がしっかりしていて大きく、親知らずが生えるだけの十分なスペースがありました

しかし、今の日本人は柔らかくて食べやすい食事が増えたせいか、顎の骨が、よく言えばしゅっとしている、悪く言えばあまり発達していない方が増えてきました。しかし、歯は一世代やそこらでは急には小さくはなりません。(先天的に数が少ない方は少し増えては来ているようです)

親知らずと顎のスペース

顎が小さくなり、スペースは小さくなったのに、そこに並ぶ歯は同じサイズだとどうなるでしょう?

 

このようなものをイメージして頂けたらわかりやすいかもしれません。
ベンチがあってそこに人の人が座っています。この人数にピッタリのベンチでした。

昔は椅子(顎)も大きく、みんなうまく座れ(並べ)ていた

しかし、このベンチが小さくなってしまったら?当然うまく座れない人が出てきてしまいますよね。

ベンチ(顎)が縮んでしまった

同じように、まっすぐ生えるだけのスペースが無いため、横向きに無理に生えるしかなくなってしまったのです。

 

すると、歯がきれいに生えてくることができず、一部は肉の上、一部は骨に埋まったままの状態や、生えてきているように見えても傾いたり前の歯と重なったりした状態になり、歯磨きもしにくく、周りのお肉にもばい菌や汚れは溜まりやすくなります。

完全に生えられず掃除が難しくなり汚れが溜まりやすくなる

身体が元気な時はまだ抵抗力があるかもしれませんが、疲れたときや、風邪をひいたりして体力が落ちると溜まった菌に対する抵抗力も落ちてしまい、腫れたり、痛んだりします。


お薬や、歯科医院での洗浄、体力の回復などにより、腫れが引いても、原因が改善されたわけではない為、またいずれ同じことを繰り返してしまうのです。

 

そして、腫れるという事はつまり「炎症」が起きているという事、この「炎症」は、その他の歯周病と同じく、歯肉だけにとどまらず、周囲の骨を溶かしてしまいます。これにより、親知らずだけでなく、その隣り合う歯を支える骨も失ってしまうことになります。

親知らずは歯並びや補綴物を壊していく

2つ目の理由をお話ししましょう。

この歯は他のすべての歯が生えそろった後、先述のように親がもう歯の管理などしてくれなくなったお年頃に生えてきます。

さてここで質問です。(矯正の項を見られた方はもうご存知かもしれません)

皆さんの歯を動かすのに必要な力ってどれくらいだと思われますか?

 

1キロ?・・・
10キロ?・・・
100キロ???・・・
いやいや、そんな簡単に歯が動くわけないよ!!1トンくらいじゃない????

 

勤務医時代、この質問は何度も患者様にしてきましたが、皆様大体すごい力を想像されていました。

 

しかし、実際には、たった数十グラムの力で動いてしまいます!!!(ただし一時的ではなく、持続的に力が加わった時です)矯正治療では多くの場合にゴムを使って歯を引っ張ります。このゴムの力は数十gです。

 

では、親知らずが生えてくるときの力はどれくらいだと思いますか?骨の中に親知らずができ始め、骨や歯肉から頭を出してくるこの力、なんと数十~百キロ近い力といわれています。

矯正力と親知らず

他の歯が並び終え、人によっては小さいころから矯正などをされて、綺麗なかみ合わせができた後、上述のように横向きや変な向きに親知らずは生えてきて、後ろからほかの歯を前に押してくのです。

数十グラムの力で動いてしまう歯を数十キロで!!当然歯は動いてしまいますよね。

せっかくきれいだった歯並びも壊していってしまいます。

傾く歯並び

かみ合わせ」のところで詳しくはお話ししますが、噛む力というのは体重~100㎏近くもかかると言われており、「よいかみ合わせ」とは見た目がきれいというだけではなく、このような噛む力を「皆の歯でうまく分担(力を分散)できている」歯並びの事をいいます。

どこかの歯にだけ噛む力が集中したり、逆に全く噛むのに参加していない歯があったりすると、負担の大きな歯は割れたり、壊れたり、詰め物などをしていたらそれが外れたり壊れたりもしてきます。


親知らずにより後ろから他の歯が押されると、手前の歯は飛び出したり、傾いたりし、噛む力がうまく分担(分散)できないかみ合わせとなってしまう事が多いです。

また、傾いてしまった歯でかみ続けると、噛む力は上からかかる為、どんどん歯が傾くのに拍車がかかり、その結果後ろから前に押される力がかかる為、さらさらにどんどん歯並びが崩れたり、押された歯が割れたり、つぶされたり、詰め物、かぶせ物など(補綴物)が壊されたり外されたりといった事が起こります。

飛び出した歯並び

親知らずは歯や骨も壊していく

親知らずの弊害はまだまだあります。
その生えてくるときの数十~百キロの力は、時に手前の歯やその根をも壊してしまうこともあります。

 

また、周囲の骨を壊しながら生えてくるため、生えてくる方向によっては手前の歯を支えてくれているをも壊してしまい、痛くなったから親知らずを抜いたら、手前の歯もぐらぐらだったり、歯が壊れてしまっていて、結局手前の歯もぬかなくてはいけなくなる事もあります。

食い込む親知らず

このように、現代の日本人にとって、ほとんどの場合、親知らずは残しておくメリットより、デメリットのほうが大きすぎるため、当医院では、可能な限り早い段階での抜歯をお勧めしております。