こんばんは。新枝歯科医院 院長(予)の新枝です。
今日は私事を一つ。
正式には明日ですが、5年半勤めた勤務先の「吉本歯科医院」を退職しました。
今日は医院で送別会を開いていただきました。
思い起こせば5年半前、研修医中に3度見学に来させていただき、日常診療からオペまでを見て、就職先に決めた吉本歯科。厳しいことで有名で、そのこだわりの強い診療は一切の妥協を許さず、かみ合わせを中心にインプラント、審美、義歯、矯正など、たくさんのことを行っている歯科医院でした。
私自身、研修医上がりで、医師とは名ばかりの、まだ何もない状態でしたので、何とか一流の歯科医師になりたくて、でも生まれ育った地元香川で患者様の助けになりたくて、就職先を探していました。
「ぬるま湯につかっていて、その温度になれたとしても、熱湯には耐えられないけれど、熱湯に初めから飛び込んだら、初めは熱いしやけどするかもしれないけれど、慣れたころには熱湯にも耐えられるようになれるはず!!」
そう信じて、吉本歯科の門をたたきました。
実際初めの3年間はほとんど何もやらしてもらえず、まるで厳しい高級店の板前の修業のような、基本基本の繰り返しの毎日で、周囲の同級生や勤務医たちはどんどんいろんなことをさせてもらっているのを聞いたりすると、
「本当にこれでいいのか?このままではいい歯科医師どころか、いっぱしの歯科医師にすらなれないんじゃないのか??」
と自問自答しながらの不安な毎日でしたが、4年目を迎えたころからすこしづつ仕事を任せてもらえるようになり、5年を過ぎたころにはほとんどのことをやらせてもらえるようになっていました。
吉本院長先生はとても特殊な方で、基本はしっかり持っていながら、そのうえで先進的な治療や、考え方を実践されていて、古くに書かれた、大学で習う「成書」と呼ばれる有名な教科書などにはない治療方針も多く、(しかしそのすべてが成功していました)初めは何を考えているのか必死で推測しても全く当たらず、失敗もたくさんしてしまいましたが、我慢強く質問したり、見学したり、毎日残って練習したりしていくうちに少しづつ何を考えていらっしゃるのかわかりはじめ、5年目には患者様や症状を見ただけで、浮かんでくる治療方針や、原因、対処法が院長のそれとほぼ同じになってきたことを実感できるようになっていました。
そして、それが「できる」ようになったから、吉本歯科を卒業し、自ら開業してもきっとやっていける!!という自信にもなりました。
熱湯に耐え続け、確かにやけどもたくさんしましたが、慣た今、確かに様々な分野、意味で強い自分になれたと実感しています。
5年半・・・長いようであっという間だった気がします。その間2000名を超える患者様を診させていただきました。そのすべてが私にとって貴重な教師であり、教科書であり、経験と自信になってくれました。
今日の送別会で、いろんなことを思い出しながら、その方々への深い感謝と、これから新枝歯科医院にご来院いただく患者様にそれらをしっかりと還元させていただくことを心に誓いました。
そして、未熟な勤務医上がりだった私を、一人前(?)にまで育て上げていただいた吉本院長並びにスタッフさん達にも感謝です。
新しいスタッフたちと造り上げていく新枝歯科医院は、以前のブログでも少し触れた研修医先の「竹中歯科医院」で学んだ心と、吉本歯科医院で学んだ本当に多くの事や技術を柱に、最高の歯科医院にしていけたらとおもいます。